工事屋さんは仕事を見ていてほしい?それとも見られたくない?

工事屋さんは仕事を見ていてほしい?それとも見られたくない?

エアコン工事やアンテナ工事、自分で依頼して頼んだ工事業者さんが家に来た時、客の立場としてはどのようにしていたらいいのでしょうか。
ここでは工事業者としての立場から、円滑に工事を終わらせるためにはどうしたらいいのかまとめてみたいと思います。

見られていると仕事をしづらい

これは正直な感想です。基本的にお互い初対面だと思いますので、慣れていない相手からじっと見られていると、普段から慣れている作業でも緊張してしまいます。もちろん個人差はありますが、現場経験30年の僕でも、じっと見られていると思うと動作がおぼつかなくなってしまうこともあります。
でもここにはいくつかのポイントがあります。じっと見られていても気持ちよく作業ができる場合もあるのです。

どうして見ているのかその理由によって大きく異なる

緊張してしまうシチュエーションとしては、腕を組んでじっと無言で見られているときなどです。これは監視されているように感じてしまいますし、信頼されていないような気持になってしまいます。
興味深く作業を見守ってくれているときはそれほど嫌な気持ちになることは少ないと思います。例えば「飴職人さんが飴細工を作る」、「ガラス細工を職人さんが加工する」様子を見られるようにしている施設などがありますよね。
職人としてリスペクトされているかもしれないと感じるとやる気がさらに湧いてくることもあるわけです。
実際は見た目と内心が異なるかもしれませんが、敵意のようなものを感じると身構えてしまうというわけです。
個人的には全く見られずに黙々と作業をする方が好きですが、質問や気になることがあれば都度言われた方がいいこともありますし、今まで身につけた知識がお客さまの役に立つと嬉しくも感じます。

いなくなられると困ることもある

工事などの作業中にお客さまと確認をしなくてはいけないことも出てくるかもしれません。一般的には作業に取り掛かる前に全て確認しておくべきですが、やりながら判明したことや、気づいたこと、確認を忘れていたことなどもあるかもしれません。そういった時にどこかに行ってしまって確認ができない、ということも困ってしまう場合があります。
お客さまの中には「近くにいても邪魔だろうからどこかに行ってますねー」なんて気を使っていただくかもいますが、そこまでしていただかなくても大丈夫です。お引っ越し前で空調がきかない(またはその空調工事を行っている)場合など、暑い(寒い)中お待ちいただくのも申し訳ないことがありますから、作業時間の長さに応じて快適な場所へ移動していただくのもいいと思います。基本的には作業者とお客さまのコミュニケーションが円滑であれば臨機応変に対応していただくのが一番ですが。

いつ場所を離れればいいかわからない

工事業者(作業者)としてお客さまの家に訪問した時、最初にお客さまと打ち合わせをします。まずどのような作業や下見を行うのか、どこで何をするのか、などです。その後現地で最終的な作業(と作業料金など)を確認して、本格的な作業に入ると思います。この本格的な作業を始めるまでは、工事業者もいろいろとお客さまに確認したいことがあると思います。なのでここまでは近くにいていただくのがいいのですが、最初の下見(調査)にも時間がかかる場合もあり「下見の最中は居室等でくつろいでいただいて大丈夫です」ということもあるかと思います。
多くの場合は工事業者が「お部屋でお待ちいただいて大丈夫ですよ」などと声をかけると思いますが、手持無沙汰だなと感じれば、お客さまから「部屋で待っていればいいですか?」などと聞いてみるのもいいと思います。

それでも心配な場合や、貴重品などがある場合

工事業者が出入りする場所は、可能であれば貴重品、特に現金はどかしておくべきです。数日後に「ここにお金置いてなかったかなあ?」なんてことになるとトラブルに発展することがあります。前職では工事の時に財布がなくなった、これは作業員が盗んだに違いない、とトラブルになったことがありました。後日お客さまの家から無事に見つかったようですが、関係者みんなが嫌な思いをする結果になってしまいました。
ただし例えばお子さんの部屋で作業をする場合など、本人不在であればどこに何があるか把握できないこともあるでしょうし、工事業者だけを残しておくのは不安になることもあると思います。気になる場合は「見ていても大丈夫ですか?」などと声をかけてもいいと思います。場所に余裕がなくて邪魔になってしまう場合や、ドリルなどを使うので危険な場合などは無理に部屋にいるのではなく、ちょっと離れた場所から見ているといいと思います。
繰り返しになりますが、この時腕を組んでにらみつけるように見るのだけはやめましょう。プレッシャーで思わぬミスをしてしまったり、工事業者としてもいい気分で仕事ができなくなってしまうこともあると思います。
プロなんだからどんな状況でもちゃんと仕事をしろ、というご意見はごもっともですが、工事業者とお客さまの関係は敵だったりどちらが上などと言うこともないのです。目を離していたら何をされるかわからない、と考えてしまうこともあるかもしれませんが、そう思って接していると業者側からは「どんなクレームをつけられるかわからない」とひやひやしてしまうかもしれません。

見てほしい時もある

専門的な作業は見ていて面白いこともありますよね。エンターテインメントとして見ていただいてもかまいませんが、危険な場所には立ち入らない、不用意に近づかない、と言ったことはご注意ください。
仕上がってしまうと見えない場所でも丁寧に作業をしている、ということは作業の工程を見ていただいたくとやりがいがあるかもしれません。

おまけ:工事の前に片付けておくといいもの

  1. 現金
    これは絶対に出しておいてはいけません。なくなっても気にしない、とか言わずにしまってください。工事業者側としても気になってしまい作業に支障をきたすかもしれません。
  2. 洗濯物
    エアコン工事やアンテナ工事をはじめ様々な作業でベランダやバルコニーに出る場合があります。洗濯物があると出入りができなかったり、作業道具が引っかかって傷がついたり、汚してしまうリスクもあります。男女問わずインナーなどが干してあるのも気まずくなってしまうこともあるかもしれません。端にずらせばいいかも、ということもありますが作業によっては粉じんが飛ぶこともあります。せっかく選択したものが汚れてしまう場合もありますので、作業場所の近くに残すのはお勧めしません。
    またアンテナ工事や電気工事ではユニットバスの天井点検口をあける場合もあります。浴室で洗濯物を干している場合も同様ですが、工事の前に作業場所を確認して業者が立ち入らない部屋に干し直したり一時的に取り込むなどをされるといいと思います。

  3. 玄関に多量の履物が出ていると、作業で頻繁に出入りする場合には邪魔になってしまいます。引っ越しの時なども引っ越し業者はたくさんの荷物を運びますので、お客さまが出入りしないなら極力靴は靴箱や邪魔になりにくい場所にしまっていただくと助かります。また足下が見えずに靴を踏んでしまうかもしれません。革靴やエナメルの靴など、踏まれてしまうと傷がついたり形が崩れてしまう場合もあります。業者も玄関のだいぶ手前で靴を脱いで、靴下のまま土間を歩いて屋内に上がらざるを得ない場合もあるかもしれません。

  4. ケースバイケースですが、お客さまの車が工事等の邪魔になってしまう場合があります。
    例えば梯子をかける必要がある場所に車がとまっている場合や、搬入経路が車によってふさがれてしまっている場合などです。すぐに動かせるなら問題ないこともありますが、立ち会う方が運転免許証を所持していない場合など、場合によっては再訪問が必要になることもあるでしょうし、一般的にそういうお客さま事情による再訪問は追加料金がかかります。
    自宅の駐車場に工事車両を止めることができれば、工事もスムースにいくでしょう。駐車禁止エリアに路上駐車を強制されても工事業者としては困ってしまいますので、そういった場合は有料駐車場などを探してとめてくる必要があるでしょう。多くの作業道具や荷物を運ぶ場合は、追加料金がかかってしまうこともあるかもしれませんし、有料駐車場代は一般的にお客さま負担になるでしょう。「すぐ目の前のコンビニにとめちゃえば?」などとは言わないでください。
  5. ペット
    モノではありませんがペットの扱いはとても大切です。
    一つには工事業者の中にはペットが苦手な人やアレルギーを持っている人がいるかもしれないということです。また万が一ペットが工事業者に噛みついてしまったり、作業道具を傷つける、粗相して汚してしまうとお客さまが工事業者に対して賠償責任を問われることがあります。
    工事道具や様々な薬剤など、ペットにとって危険なものもたくさんあります。ペットの身を守るためにも、ペットは工事業者の近くに行かないようにケージに入れたり、作業に関係のない部屋にいてもらいましょう。