家を空き巣から守るためにすべきことは?施工会社に依頼&DIYでできる防犯対策
「家の防犯対策は鍵をしめてるし、ばっちり!」
たしかに、施錠は防犯の基本中の基本です。
しかし空き巣をはじめとする外部侵入による犯罪は、鍵をしめていても発生します。
鍵やドア、窓を壊して侵入してくるためです。
空き巣に入られないために大切なのは、「侵入しにくい家」と思わせること。
空き巣から家にいる大切な家族、金品を守るためにできる防犯対策をご紹介します。
空き巣は他人ごとではない
警視庁が公開している「平成30年の刑法犯に関する統計資料」(参考サイト:https://www.npa.go.jp/toukei/seianki/H30/h30keihouhantoukeisiryou.pdf)によると、同年の空き巣発生件数は、認知されているだけで2万2,000件以上です。
厚生労働省が公開しているデータでは、同年の総世帯数が5,099万です。(参考サイト:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa18/dl/02.pdf)
2万2,000件中の5,099件と考えると、割合としてはそう多くないように感じますよね。
しかし日数に直すと、毎日60件以上の家が空き巣被害にあっているという計算になります。
さらに中には空き巣に入られたことに気づいてすらいない家庭もあるため、空き巣被害の割合の実情はもっと多いと考えられます。
空き巣被害にあうことでお金や思い出の品を失うだけでなく、最悪、家族の命も脅かす結果になるかもしれません。大切なものを守るためにも、防犯対策は万全にしておきましょう。
狙われやすいのは窓と玄関
空き巣が侵入経路として選ぶのは、窓とドアがほとんどです。
一方で、空き巣は解錠に時間がかかって人に見られたり、目立ったりすることを嫌う傾向にあります。
そのため侵入されやすい窓・ドアを「簡単に突破できない=侵入までに時間がかかる」タイプにすることで、空き巣被害の可能性を下げられます。
効果的な防犯対策~窓編~
簡単に開けられず施錠に時間がかかる窓にするには、いくつかの方法があります。
まずは施工会社への依頼が必要なものの、本格的な対策がとれる方法について、見てみましょう。
格子をつける
空き巣が窓から侵入する際、狙うのは大きな掃き出し窓ばかりとは限りません。
トイレやお風呂の小さな窓も、侵入経路になります。
「あんな小さな窓から?」と思うかもしれませんね。
しかし人間は、肩幅程度の広さがある窓であれば通ることができます。
さらに言えばトイレやお風呂の小窓は、大きな通りに面していない場合が多いです。
人目もつかないため、侵入経路としての条件は抜群だといえます。
そこで小窓の防犯対策として、格子の設置をおすすめします。
格子がついていることで通り抜けができないのはもちろん、格子を外したり壊したりも一筋縄ではいきません。さらに「防犯対策をきっちりやっている家」という心的印象を空き巣に与えられます。
その結果、侵入対象として外されるでしょう。
外側に開くタイプの小窓の場合は外に格子がつけられないため、室内格子の設置を検討してみてください。
【小窓用格子のざっくり施工内容 】
- 外壁に穴を開けてビスで設置
- アルミサッシの枠に穴を開けてビスで設置
防犯ガラスにする
空き巣が窓から外部侵入をする際、もっとも多いのが「小さくガラスを割る→腕を通して部屋の鍵を手動で開ける」という手法です。
ガラスを割れにくい防犯ガラスに変えることで、この手法を用いた侵入を防げます。
さらに、防犯ガラスは通常のガラス窓に比べて厚く作られているため破壊に時間がかかったり、割る際に大きな音が出てしまったりと、空き巣の嫌う状況を作り出せます。
【防犯ガラス設置のざっくり施工内容】
- 既存の窓ガラスを外して、シリコンやグレチャン(グレイジングチャンネル)などで防犯ガラスを枠に埋め込む(ガラス交換)
- ・枠だけを残したまま、その上に新しい枠とサッシ(窓)を上からかぶせる。ガラスから枠まですべてを交換できる(カバー工法)
防犯シャッターにする
シャッターがあるだけで空き巣は「侵入に時間がかかる」という印象を持ちます。
家を出る際には、なるべくシャッターを閉めてからの方が良いでしょう。シャッターの鍵がダブルロック仕様になっているものや破壊しにくいものなどを選べば、防犯効果がさらにアップします。
うっかりシャッターを閉めるのを忘れてしまったときのために、今はタイマー付きの電動シャッターも販売されています。不安なかたはこちらも検討してみてください。
【防犯シャッター設置のざっくり施工内容】
- 外壁に下地部材を取り付け、その上にシャッター枠を設置。本体と両サイドのガイドレールとボックスカバーを取り付け、隙間をコーキング剤で埋める。
- 既存のシャッターを分解して電動部品を埋め込み、電動性に切り替える
DIYでできる窓の防犯対策
窓周りの防犯対策は、プロに施工依頼をするものばかりではありません。DIYでできるような防犯対策でも、効果を発揮します。
防犯フィルムを貼る
防犯フィルムは、ホームセンターでも売られています。「徹底的にキレイに貼りたい」というのでなければ、DIYでも施工可能です。
防犯フィルムを貼ることで窓が割れにくくなるため、空き巣の足止めや、侵入をあきらめさせる効果が期待できます。
ちなみに、防犯フィルムは厚みで防犯効果に差が出ます。厚みの単位は「ミクロン」です。
防犯性を高めたいのであれば、割れにくく破れにくい350ミクロン以上のフィルムをおすすめします。
補助鍵の設置
窓についている鍵は、ほとんどがクレセント錠のみです。そのため空き巣の窓からの侵入経路は、多くが窓ガラスを手早く静かに割り、直接クレセント錠を開ける、というもの。
補助鍵があることで、割らなくてはならない箇所がもう1つ増えるため、侵入を躊躇させることができます。
さらに補助鍵は窓サッシ・窓枠に取り付ける場合が多いため、外部からの破壊も難しいという利点もあります。
効果的な防犯対策~玄関編~
窓と並んで、空き巣にとって定番の侵入経路が玄関です。
「玄関は鍵さえ閉めていれば大丈夫」と考えるかたも多いですが、鍵やドアそのものを破壊されるケースも珍しくありません。
ほんの5分出かけていた隙に、玄関の鍵が壊されて中が荒らされていた、なんてこともありえます。玄関に本格的な防犯対策をして、外出時の不安を減らしましょう。
1ドア3ロックにする
現在の新築では、1つの玄関ドアに鍵が2つ設置されている「1ドア2ロック」が多いです。
昔は1つの玄関ドアに鍵は1つだけだったのを考えると、防犯性はアップしているといえます。
しかし鍵の進化にともない、空き巣の技術もレベルアップ。
2ロックくらいなら、簡単に解錠されてしまう場合も少なくありません。
そこでおすすめしたいのが、さらにその上をいく3ロックドアです。
ドアロックの数と空き巣の技術のいたちごっこではありますが、まだ3ロックドアは、充分なレベルまで普及していません。
そのため空き巣にとってもイレギュラーな存在であり、侵入を躊躇する可能性があります。
また鍵を3つにすることで解錠までの手間をさらに増やし、空き巣に侵入を諦めさせる効果が期待できます。さらに3つ目の鍵を玄関ドアの高い位置に設置することで空き巣は立って解錠をしなくてはならず、目立ってしまいます。
このように、3ロックドアは空き巣にとって「手慣れていない」「手間をかけさせる」「目立つ」という、避けたい要素が3つ揃っているため、侵入抑制に大きな効果を発揮するでしょう。
【1ドア3ロック設置のざっくり施工内容】
- ドアに鍵穴を開けて、鍵を追加設置。
- 既存の錠を外し、穴を塞いで、新たに3ロック用の鍵穴&鍵を設置。
ドアホンをカメラ付きにする
空き巣の約半数が、ターゲットの家のインターホンを鳴らして、留守のタイミングをはかるとされています。
カメラ付きのドアホンにすることで、呼び鈴を鳴らしているのが不審な人物かどうか、判断しやすくなるでしょう。
もちろん空き巣もカメラの有無は把握しているはずです。わざわざ自分の姿を記録に残すような真似はしないはず。
しかし逆をいえば、インターホンを鳴らしたのに姿が映っていない相手は、疑わしい人物である可能性が浮上します。
最近では、「パナソニック」からスマホと連動しているドアホン「外でもドアホン」という製品も発売されています。
仮に本当に留守のときに呼び鈴を鳴らされ、いないのがバレてしまいそのまま侵入……なんてことになるかもしれませんよね。
しかしスマホ連動の「外でもドアホン」なら、外出先でも家にいるように振る舞えます。
そのため空き巣からは留守のタイミングがわからず、侵入対象として除外される可能性が高くなります。
【カメラ付きドアホン設置のざっくり施工内容】
- 既存の屋内インターホンの電源を確認する(コードと本体がつながっている場合、電気工事士の資格がないと工事不可)
- 既存の屋外チャイムを外し、カメラ付きインターホンに付け替える。このとき、壁から出ているチャイムコードを新規インターホンに繋ぐ
- 屋内の既存インターホンを外し、カメラ付きインターホンに付け替える。インターホン用配線と電源コードを繋ぐ。
センサーライトの設置
「空き巣が嫌う家のタイプ」のひとつが、目立つ家です。
センサーライトを設置することで、玄関に近づいた際に明かりがつき、近隣住民に認知されやすくなります。
また、スポットライトのように照らされた環境での解錠は、空き巣にとっても心理的に負担です。
空き巣対象の家として、除外されやすくなるでしょう。
【センサーライト設置のざっくり施工内容】
- 玄関・窓など希望する設置箇所の付近に電源コードがあるかを確認
- 電源があれば、外壁にビスを止めてそのまま設置
- 電源がなければ、防水・屋外処理を考えたうえで延長コードを使用OR配線工事を追加
オートロックに変える
警視庁の「平成30年の刑法犯に関する統計資料」のデータによると、空き巣被害にあった家のおよそ4割が「無施錠」が原因だとされています。
玄関だろうと窓だろうと、どんなに厳重な防犯対策をしても、鍵をしめていないのでは意味がありません。
とはいえ、うっかり鍵をかけ忘れてしまうこともあるかもしれませんよね。
無施錠が多い方におすすめしたいのが、オートロック錠です。玄関の開け閉めが行われた数分後に、自動で鍵をかけてくれます。
マンションや集合住宅では一般的なオートロックですが、最近では戸建にも普及しています。
オートロック錠の設置によって、鍵のかけわすれによる空き巣の侵入も、減らせるでしょう。ただし、家主が解錠の鍵を持たずに出てしまった場合、締め出されてしまいます。
ゴミ出しやちょっとした近所への買い物の際にも、必ず鍵を持って出るようにしてください。
【オートロック錠設置のざっくり施工内容】
- 既存のシリンダーにオートロックの鍵をかぶせて後付けをする
- ドアに穴をあけてオートロックの鍵を追加する
- 電池で動くタイプ・電源工事が必要なタイプとある
防犯カメラの設置
記録を残してしまう防犯カメラは、空き巣にとってやっかいな存在です。
わかりやすく設置をしておくことで、空き巣の侵入を抑制する効果があります。
最近ではワイヤレスタイプやスマホと連携しているもの、または穴あけやケーブル工事が不要なものといった、DIYで設置できるような簡易的なタイプも多く販売されています。
しかしDIYでできるような簡易タイプは、映像がきちんと取れていないといったトラブルが多いです。本格的な防犯対策をするなら、あまり安価で手軽なものは避けたほうが良いでしょう。
【防犯カメラ設置のざっくり施工内容】
- 設置場所を決め、カメラ本体を外壁にビスどめする
- カメラ本体と電源をつなぐ。カメラ→LANケーブル→レコーダー→HDMIケーブル→モニターでつなぐ(レコーダーとモニターにも電源が必要。屋外にコンセントがない場合、通気口などから屋内の電源まで伸ばすor配線工事が必要)
- ケーブルをカバーで隠す
- ワイヤレスの場合、カメラ本体とモニター間のコードは不要(それぞれの電源コードは必要)
DIYでできる玄関の防犯対策
玄関も窓同様、施工会社に依頼をせずとも自分でできる防犯対策方法があります。
そのうちのいくつかを、ご紹介します。
サムターンカバーの設置
空き巣の玄関からの侵入方法は、針金やヘアピンを使って錠を開けるピッキングだけではありません。
中にはドアを破壊し、外から玄関の鍵まで手を伸ばし、直接解錠をする空き巣もいます。
これを防ぐのが、サムターンカバーです。
ただ鍵を回すだけではなく、カバーを取り外さなくてはならず、解錠が容易ではなくなります。
サムターンカバーは100円ショップでも販売されています。しかしあまりに簡易的なものは、空き巣に突破される可能性があるためおすすめしません。
ドアスコープカバーを取り付ける
ドアスコープの役割は、玄関から外を確認するだけではありません。
じつは、外から中を覗くこともできます。
ドアスコープカバーをつけることで外部からの覗きを阻止できます。
空き巣にとっては内部把握がしにくくなるため、侵入の抑制に効果を発揮するでしょう。
その他の防犯効果のある対策方法
窓やドアといった直接の侵入経路以外にも、防犯対策として効果を発揮する方法がいくつかあります。
新聞や郵便・雑草を放置しない
新聞や雑誌、雑草などが放置されていると、空き巣に「だらしない家」という印象を与えてしまいます。その結果、施錠や貴重品の保管もおろそかであろうと推測。侵入対象としてリストアップされてしまう可能性もあるのです。
外から見て「きちんとしている家」を目指すことで、空き巣の対象から外れる可能性が上がります。
犬を飼う
空き巣が侵入を諦める理由のひとつが犬の存在です。
愛犬が直接犯人に噛みつき、撃退をする……というのは難しいかもしれませんが、見慣れない人間に吠える犬は、多いのではないでしょうか。
空き巣にとって犬が吠えることで近隣に不審がられるのは、避けたいようです。
砂利を敷く
庭の景観の一部として砂利を敷く家庭も多くありますが、砂利を踏んだ際に出る音は、防犯対策になります。
玄関周りや窓の周りなど、空き巣が侵入しやすそうな箇所に砂利を敷くことで、偵察にきた空き巣の気配に気づけます。
また、家主が不在であっても、砂利の音で近隣住民が人の気配を察知できる可能性もあります。
まとめ
防犯対策の方法はさまざまです。なかでも侵入経路となりやすい窓と玄関の防犯は、とくに徹底したいところ。
DIYでの対策だけでは不安に感じる方やDIYが苦手な方は、より高い効果を発揮する防犯対策をプロの施工会社への依頼を検討してみてください。