技術士は海外でも通用する国家資格

技術士は海外でも通用する国家資格

そもそも技術士って知っていますか?

技術士とは技術系分野のスペシャリスト

皆さんは「技術士」というワード、耳にしたことはありますか?
正直、普段の生活の中ではあまり聞き慣れないワードだと思います。
「技術士」とは資格の名称の1つです。
技術士の資格を得ると「国によって科学技術に関する高度な知識と応用能力が認められた技術者」として認定されます1技術士になるには | 日本技術士会 (engineer.or.jp)
「国によって認められた技術者」であることから、技術士はもちろん国家資格です。
世間の知名度は他の国家資格と比較すると圧倒的に低いようですが、業界の中では「技術系資格の最高峰の存在」とも言われます。
技術士の資格を取得しているだけで一目置かれる存在になるのです!

21分野のスペシャリストが存在

理系専門分野のスペシャリストとも言える技術士資格ですが、資格1つで全ての科学技術を網羅しているわけではありません。技術士はさまざまな部門に細分化されており、その数は21部門にものぼります。

技術士の21部門
機械部門 航空・宇宙部門
化学部門 金属部門
建設部門 衛生工学部門
森林部門 経営工学部門
応用理学部門 環境部門
船舶・海洋部門 電気電子部門
繊維部門 資源工学部門
上下水道部門 農業部門
水産部門 情報工学部門
生物工学部門 原子力・放射線部門
総合技術監理部門

細かく専門分野を分けることで、各分野ごとの専門性を高めています。

海外でエンジニアと言えば医師や弁護士と肩を並べる立場

技術士は海外でも有効な国家資格

現在日本で取得できる国家資格は約300個あります。
しかし海外でも存分に活用できる国家資格となると、その数は激減してしまいます。
その中でも技術士の資格は、海外でも通用する国家資格として非常に有効な存在です。

これはエンジニアという存在の重要性が、日本と海外で大きく異なっていることが理由としてあげられます。

日本で技術士(エンジニア2※技術士の英語表記はProfesshional Engineer〔略称: P.E.〕)と言うと、「免許の有無にかかわらず、専門分野に携わっている人」の総称を指すイメージがあります。

しかし海外で言うエンジニアとは、学士課程を卒業し、一定の実務経験を有した上で国家試験に合格しなければならなければ名乗ることができない、非常に貴重な存在です 。
その貴重さは、なんと「エンジニアは医師と弁護士と肩を並べるほど」と言われています。

日本国内での技術士の地位は、医師や弁護士と比べると、正直少し低く見られていますよね。

技術士の資格を持っておくと、海外でのキャリアアップの可能性も大いに期待できます!

海外でエンジニアとして働きたいなら覚えておきたい3つの資格

海外を見据えるならこの3資格をおさえておくべし

国家資格として国内で「技術士」の資格を取得しても、海外で活躍するためには国際的なエンジニアリングを取得することが必要です。
厳密には絶対に必要というわけではないのですが、取得することで海外での仕事を非常にスムーズに行うことができるようになります。

APECエンジニア制度

APECとはアジア太平洋経済協力(Asia Pacific Economic Cooperation)の略。
アジア太平洋を取り囲む21の国と地域の経済協力の枠組みを指します。
APECエンジニア制度では、APEC域内なら国境を越えて自由に活動することができるようになる制度です3技術士資格の国際的通用性について:文部科学省 (mext.go.jp)

2022年現在の参加エコノミー(16エコノミー)
オーストラリア カナダ 台湾 香港
インドネシア 日本 韓国 マレーシア
ニュージーランド ペルー フィリピン ロシア
シンガポール タイ アメリカ パプアニューギニア

APECエンジニアの5要件4国土交通省|APECエンジニアより抜粋※文部科学省の技術士資格の国際的通用性についてのページでは要件として上記の5条件よりも詳しく7要件としての記載がある。
  1. 認定もしくは承認されたエンジニアリング課程を終了していること
  2. 自己の判断による業務実施能力を有すること
  3. 7年以上の実務経験を有すること
  4. 重要な業務の責任ある役割を2年以上遂行した経験があること
  5. 継続的に能力開発に努めていること

IPEA国際エンジニア

IPEA国際エンジニア(旧EMF国際エンジニア)加盟15か国5文部科学省|技術士資格の国際的通用性についての表記による
インド アイルランド 南アフリカ スリランカ
イギリス オーストラリア カナダ 台湾
香港 日本 韓国 マレーシア
ニュージーランド シンガポール アメリカ
IPEA国際エンジニア(旧EMF国際エンジニア)暫定加盟3か国
ロシア バングラデシュ パキスタン
IPEA国際エンジニアの要件
  1. ワシントンアコード認定6エンジニアに関する教育認定制度。他の加盟団体が認定した技術者教育プログラムの修了者に対し、自国の認定機関が認定したプログラム修了者と同様な専門技術者の免許交付や登録上の特典を与えるという、技術者教育の実質的同等性に関する国際協定。またはそれと同等のエンジニアリング課程を修了していること。
  2. IEAが標準として示す、「エンジニアとしての知識・能力(International Engineering Alliance competency profile for engineers)」に照らし、自己の判断で業務を遂行する能力があると認められること
  3. エンジニアリング課程終了後7年間以上の実務経験を有していること
  4. 少なくとも2年間の重要なエンジニアリング業務の責任ある立場での経験を有していること
  5. 継続的な専門能力開発を満足できるレベルで実施していること
  6. 業務の履行に当り倫理的に行動すること
  7. プロフェッショナル・エンジニアとして行った活動及び決定に対し責任を持つこと
  8. 上記の要件中、基本的にはAPECエンジニアと同様であるが、1)に係る、エンジニアリング課程修了の判定は、加盟エコノミーによってはAPECエンジニアよりも厳格な運用がなされる可能性がある。

IEA

IEAとは、国際エンジニアリング連合(International Engineering Alliance)の略称です。
エンジニアリング教育認定の3協定(ワシントン協定、ダブリン協定、シドニー協定)と、専門職資格認定の4枠組(APECエンジニア協定、国際エンジニア協定、国際テクノロジスト、協定国際テクニシャン協定)の加盟者で構成されています7参考:国際エンジニアリング連合(IEA) について|国際委員会|公益社団法人 日本技術士会 (engineer.or.jp)
2001年に結成された比較的新しい組織であり、高等教育機関の教育の質と国際的同等性の確保、専門職資格の確保と国際的流動化を大きなテーマとしています。

文中脚注一覧